お蚕さんに触れる機会がありました。
群馬県立日本絹の里にて。
何千年という歴史を持つ養蚕のなかでお蚕さんは自然の中ではもう生きていくことが出来ない姿に進化してきました。
白い体は自然界では目立ちすぎて捕食されやすい。
繭から羽化した成虫も、ただ繁殖するだけの飛べない蛾。
ただ人の為に、口から1km前後の糸を吐く。
その糸は美しく、肌に優しい。人にとって良いことづくめ。
ただただ人の為に。
手に乗せた瞬間、少しあった怖さはなくなった。
小さな足は吸盤のようにきゅうっと吸い付いてくる。お蚕さんはまるで飼い犬のように人に警戒心を持たず、触れたときにこちらを優しい気持ちにさせるものだった。その気持ちをあえて言うなら愛おしさだ。
これはずっとずっと人が責任を持って養蚕を続けなければ途絶えてしまう命なのだ。人の責任なのだ。
責任。自分のなかに心地よく負荷をかけた日でした。