二日目
この日は朝から盛りだくさん
ホテルから電車を乗り継ぎ亀岡までいき、そこから嵐山までの保津川ライン下りを体験。
船頭さんは三人組で船首と船尾で三役を順番に交代しながら手漕ぎで二時間、私たちを運んでくれる。
櫓を担当する船頭さんがガイド役となって代わるがわる三人三様の個性ある軽快なトークと巧みな櫓さばきで大いに楽しませてくれた。
昨年の台風の影響で山の木々がなぎ倒された無残な光景も、自然の営みのありのまま。これを見ることができたのが神の恵みと思えばありがたい。
嵐山の渡月橋付近に到着し、まずは昼食へ。
嵐山駅近くのカフェで、私は鴨肉ののった出汁をいただいた。
旅先での食事は限りがある。普段、昼食は食べないが、こういうときは楽しむことにしている。
その後は徒歩で嵐山の竹林の小径を歩き、野宮神社を参拝。
嵯峨嵐山駅から花園にある臨済宗妙心寺派大本山、妙心寺さんへ。
ここもとにかく見どころが多い。
まずは 龍泉庵へ。
各部屋の襖や引き戸に描かれた、中世から近代の日本画家達による襖絵が公開されている。
四方の壁一面に描かれる四季折々の風景や虎、竜などの絵の迫力と品に魅了される。
続いては法堂にある竜の天井画。
狩野探幽によって8年の歳月をかけ描かれた竜雲図。
見る方角によって竜の動きや表情が変わる。
もちろん、その迫力もすごいのだが、法堂を支える柱がまたすごい。
大人二人がかりでやっと抱えらえるほどの太さの柱は、実は原材を四分割にした辺材を丸く切り出して作った柱であり、その原材は富士山麓から海路で運ばれたとか。
それが法堂には40本前後使われているのだ。
古代の樹木の大きさよ。今ではもう見ることは叶わない。
樹木には寿命はない。あったとしても人間からしたら永遠に近いほどに永い。
その命を、切り出され形を変えこうして建物として人の世の中で継続している。
これが彼らの意志であったのだろうか。
であるなら、なぜそれを選んだのだろう。
儚い思考はとまらない。
京都の街が永遠であることを祈らずにはいられなかった。
そして次なる観光は、石田三成ゆかりの浴室を見学し、
春日局の菩提寺、麟祥院さんへ。
ここには国宝である竜雲図があり、運よく公開されていた。
現地のガイドさんの説明によると、近年、歴史ある美術品の保存のために本物を保管し、デジタル画を展示するようになってきているとか。
今回公開された左右一対の双雲竜図も片方はデジタル画で、もう片方の本物も公開はこれで最後だろうということだった。
選美眼は本物によって養われる。保存は最優先だが、その機会が失われていくのはとても寂しい。
良いチャンスと思い直し、デジタルと本物の違いを見比べてきた。
奥には春日局の像が安置されている。
とても温かみのあるお顔と、女性らしい小さなお堂がかわいらしかった。
激動の人生だっただろう。そして慕われ愛された方だったのだろう。
その後はバスでホテルまで戻り、夕飯までの間自由行動となった。
一人でおみゃげを探しながら街を歩き、錦市場の賑わいを抜け、先斗町の繁華街へ。
この日の夜は長かった。
つづく