突然、京都に行ってきた。
知人の家族旅行で直前に欠員がでたことでお声がかかり、最終日だけ調整すれば行けそうだったので、ありがたくお受けした。
京都へは主人の実家に帰省する折にほんのちょっと立ち寄りはするものの、本格的に探訪するのは何年ぶりだろか。
久し振りの京都はとても新鮮だった。
大人になってからの旅はとても面白い。
その記録。
一日目
九時半に京都駅に到着
京都駅に隣接する、宿泊先である京都ホテルオークラのラウンジに荷物を預ける。
ホテル自体も便利なところにあるが、ホテルまで荷物を運んでくれるサービスはとてもありがたい。
身軽になったところで早速、バスで伏見稲荷へ。
エキゾチックな連続する鳥居。そのフォトジェニックな光景が国外でも大人気。
さすが海外からのお客様で大変賑わっていた。
この旅の二日目に夕飯を頂いた料亭のご主人曰く
『お稲荷さんがこんなことになるなんて思いもよらなかった。私たちが中学生の頃は鳥居の下はマラソンコースでした。今ではそんなこと出来ません』
と、柔らかい京都弁で話してくれた。
連続する鳥居は山の頂上へ、そしてまた入口へとつながり、山を一周できるハイキングコースでもある。
今回はその手前までの参拝だった。
いつかは一周してみたいものだ。
昼食は、伏見稲荷の参道近くにある『祢ざめ家』さんで、豚肉入りの蕎麦。
鴨南そばの豚肉版といったところか。
この旅全般、きわめて天候が良かった。それでも季節は冬。
参拝で冷えた体に温かい白出汁は最高だ。
心身があたたまったところで、次の目的地
臨済宗東福寺派の大本山 『東福寺』さんへ。
伏見稲荷さんから東福寺さんへは徒歩で20分ほどの距離。
ではあるのだが、東福寺さん、入口からまたさらに歩く歩く。
山内には25からなる伽藍、寺院があるそうだが、三門から何から何まで、とにかく広大、とにかく巨大であった。
関東とのスケール、歴史、繁栄の違いをまざまざと見せつけられた気がする。
見どころは沢山あるが、今回のお目当ては八相の庭。
方丈の建物を囲む東庭、西庭、南庭、北庭。
それぞれが地形を生かしていたり、造形を凝らしていたり。
古来の日本庭園の造形と、近代のモダンさが程よく配置された、幾何学と哲学の庭だった。
春は桜、秋には紅葉と、華やかな季節には当然来訪者も多くにぎわいがあるだろう。
しかし、薄く色づいた山の木々の枝の先の織り成す景色。
その冬枯れが私はとても美しいと思った。
今回はお世話になっている和裁所の先生とその家族のご旅行。
所の代表も同行していたので、ついでに京都の業者さん二件へご挨拶に伺うことになっていた。
東福寺さんを後にし、その用事を済ませ、ホテルにチェックイン。
夕飯は、先斗町にあるおばんざいのお店、『先斗町 たばこや』さん。
ホテルからもお散歩の距離。
日暮れの京都の町はまた良かった。
川沿いの小さな小道を除くと暗がりにぽおっと灯る提灯。
京都というだけで、それが特別な光景に見えてくる。
お料理は、京都の家庭料理というおばんざい。
繊細さ、奥ゆかしさ。盛り付けも味付けも、関東とは違う。
京都はお公家さんの、江戸は武士の文化だった。そんな違いを食を通して感じた。
食事への満足感が気持ちよく、ホテルの部屋に戻っても暮れ行く一日が名残惜しくて一人ホテルの周りを散歩した。
気持ちよかった。
一日目終わり。