茨城の実家には柚子の木があり、毎年この時期に柚子が沢山送られてくる。
それを、母直伝のレシピで柚子ジャムにするのが楽しみ。
昨年はなぜか柚子が一個しか実らず、二年ぶりの作業となる。
待ちに待った荷物が到着!ワクワクと箱を開けてふんわりと柚子のいい香りを堪能しながら気づく、大量さ。。。
測ってみればなんと6㎏近い。
どうしろというのだ、母よ。
途方に暮れても鮮度が落ちるだけ。楽しみにしている友人たちに沢山たべてもらおう!と気を取り直し、早速柚子ジャム作成に取り掛かる。
鬼皮の苦みを抜く作業や、とろみを出すための内側の皮の処理などが大変ではあるが、これが食べやすい味と食感を生み出しているので大切に作業したい。
じっくり取り組む時間は、柚子との対話の時間。
自分より大きな存在に命すべてをささげようとする柚子と、無駄なく使いきり、活かしきろうとする私。
自然に呼応したような気持ちになっている。
●柚子ジャムのレシピ●
【材料とその割合】
柚子 : 正味1㎏に対して
砂糖 : 300~500g 30~50%(甘さ控えめ。好みで調整する)
塩 : 30g 3%
①柚子の総量を測り、材料を計算
②柚子の表面をたわしで洗い、汚れを落とす
③半分に切ってジュースを絞る
柚子の果汁は少ないのでしっかり絞る
※種を取りながらが望ましいが、柚子は種が多いので取りきれない種は工程の合間に取りのぞくつもりのほうが気が楽
④鬼皮と内側の皮を分ける
このとき皮に残った種を取り除く
内側の綿はなるべく内側の皮と一緒にこそぎ取る
⑤鬼皮を3ミリほどの千切りにする
傷や変色している箇所は取り除く
⑥千切りにした鬼皮の苦み抜きのために、塩と鬼皮をひたひたの水で鍋に入れ、皮の白い部分が透き通るまで中火で煮る
目安は30分ほど、煮くずれしないように注意する
⑦鬼皮をザルにあげ、塩気とさらに苦みを抜くために水にさらしておく
食べてみて好みの苦みになるまで時折水を変える(目安は半日)
⑧ ⑦の苦みがちょうどよくなったらザルにあげ、かるく絞って水を切る
⑨ ⑥⑦⑧の作業の間に、絞った果汁を網またはザルでこし、ザルに残った果肉をヘラでさらに濾し、果汁を絞りきる
このときザルに残っている種をつぶさないように濾す
最後までザルにのこった果肉と種は使わない
⑩ ④でとった内側の皮と綿をひたひたの水で煮る
後で濾すので煮崩していいが、とろみがでて焦げやすいので火の加減に注意し時折、鍋底をこすりながら混ぜる
⑪ ⑨で内側の皮がとろけて濾しやすい状態になったら火からが下ろして濾す
これがジャムのとろみになる
⑫ 果汁と鬼皮と濾した内側の皮と砂糖を鍋に入れ、好みの固さになるまで弱火で煮る
砂糖は初めは少なめにいれたほうが後から調整しやすい
私は普段、白砂糖は使わないので、今回も甜菜糖を使用。
白砂糖では、薄い綺麗な黄色に出来上がり、こってりとした甘さになる。
甜菜糖では、薄茶色になり、さっぱりとした甘さになる。
今年は柚子の皮に傷や変色が多く、やむなく1.5㎏ほどのロスがでたので、砂糖の量をその分控えてみた。
正味5.7㎏-ロス分1.5㎏=4.2㎏
に対して 砂糖1450g、34%だった。
甘さが口に残らず酸っぱさがあって大人の味。
このくらいでいいのかもしれない。
母伝授により、緩いくらいの固さに仕上げている。
理由は、冷凍してもスプーンで取りやすく、アイスやヨーグルトにかけやすいし、お湯にも溶けやすいから。
なので見た目はジュレに近い。
寒天やゼラチンを使わない、柚子の持つペクチンで出来るジュレ。
その柚子ジャムならぬ、柚子ジュレを、母は20年以上も前から作っていた。
レシピ通りではなく、いつも自分なりに進化させていく。
考える、ってとても大切だ。
出来上がったらお好みの方法で保存。
冷蔵では傷みやすいので食べる分だけ冷蔵庫に出しておき、残りは冷凍保存しておく。
こうして書いていると、柚子を分解し、人間的な作業をし、また一つに合わせる、というなんとも面白い作業である。
柚子は柚子でもまったく別のものに作っていく。人の美味しいものへの執念、いや情熱はすごいと感心する。
それにしても、出来上がった2018柚子ジュレはなんと6.2㎏!!!
ロスがなかったら8㎏にはなっていただろう・・・。
これからせっせと冷凍庫の隙間を作るのだ。
とはいえ毎年、差し上げる方から好評をいただき、お陰様で私も嬉しい限り。
年に一度の柚子の仕事。豊かさに感謝。
因みに、柚子の種は柑橘系の果物の中でもペクチンが多く含まれている。
4,5粒を大匙2~3ほどの水につけておくととろみが出てくる。
私はそれを化粧水代わりの使うので、種は洗って乾かしてジップロックにいれて冷蔵庫にしまっている。